「30年、40年前から言われ続けていることです。全国に支部会員は1万人以上で、年間予算は27億5000万円。それなりに大きな組織なんです。これを棋士が運営するのは確かに無理があるんですが、かといっていい方法がない。外部の知恵を借りるというのも理想論で、棋士が外部の声に耳を貸さないから、取り入れるのが困難なんです」
連盟の正会員には、引退者も含まれる。第一線から退いたベテラン棋士が運営に携わる方法はどうか。
「色々な絡みがあって簡単にはいかない。(理事になるには)棋士に選んでもらわないといけないが、派閥もあるし、世代間の対立、東京と大阪の対立もある」
そう話す西村九段は、2年前の理事選に立候補し、落選している。
「これには色々あった。連盟の予算のうち4億~5億円は理事会に裁量権があるお金。対局の審判や立ち会いのお願いをしたりする金です。それから細かい話になりますが、2011年に公益社団法人となったことで棋士は個人で国民年金に入るようになった。
それによって連盟が支払っていたおよそ1億円の(厚生年金の)社会保険料が浮きました。また、かつては盆暮れに棋士へのモチ代や氷代として、若手でも20万~30万円が支払われていましたが、これも公益法人となってなくなり、理事の裁量権下のお金が増えた。これが理事選の票集めのために使われているんです。私にいわせれば、悪いことをやる奴は知恵があるということ」
西村九段は理事として予算の差配に携わった経験があるだけに、重い指摘だ。