国内

神社本庁総長 神社界が政治にどうかかわるべきか語る

神社本庁総長・田中恆清氏 写真/柴田明蘭

 零細神社は存続が難しいと言われている。一方で、全国の神社を包括する神社本庁は政界も無視できない存在感を示す。強弱両面を持つ神社界の未来について神社本庁総長・田中恆清(たなか・つねきよ)氏にフリーライターの山下徹氏が話を聞いた。

──近年、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」に賛同する神社が参拝者に改憲署名活動を行い、話題になった(*)。神社で署名活動とは違和感を覚えるが?

【*9条改正のほか、日本の文化伝統の明記や、社会の基礎となる家族を守る規定などを盛り込んだ憲法制定を求める署名活動】

田中:神社界では、皇室の尊厳を守り、伊勢の神宮をはじめとする全国の神社と伝統文化を受け継いでいくために神社本庁を設立しました。国民や国家を深く思う陛下の御心のもとで私たちは生かされている。それが、日本らしさであり、世界に誇る皇室の伝統文化なのです。

  また日本の歴史や伝統とともに歩んできた神道という宗教を考える上で、政治の問題は避けて通れません。国がどうあるべきか、理想の国家とは何か、神社界ではさまざまな国民運動を展開してきました。その思いは、元号の法制化や建国記念日の制定などとして結実しました。

──政治にかかわることに慎重な声もあったと思うが。

田中:神社本庁は皇室の尊厳を護持し、道義を回復するために斯界の総意を以って発足しました。神社界には戦後、連合国の占領下で失われた日本人の歴史、伝統文化を掘り起こして復興しなければ、という危機感と強い思いがあります。一方で神職の中にも多様な政治意識があるわけです。

 そのような状況で国民運動団体である神道政治連盟が、多くの人に神道と国家の基本を理解してもらおうと活動を続けてきました。もちろん宮司の考え方が責任役員や総代に受け入れられるか、ということもありますので、総代や氏子の方々とも相談して、最終的にはそれぞれの神社の判断に任されています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン