その他、関連企業にはPOS(販売時点情報管理)レジや複合コピー機、エレベーターなどの会社もあるが、「どれも整理・売却したとしても焼け石に水」(市場関係者)というのが大方の評価だ。
綱川社長は、記者から東芝の将来像を繰り返し問われ、「社会インフラや原発以外のエネルギー、IoT関連(モノのインターネット)などをしっかりやっていく」と述べたものの、具体性に欠けるものだった。
このまま本当に東芝ブランドは生き残っていけるのか──。誰もがそんな不安を抱く中、前出の関氏は、「今の東芝の姿は、かつて日本最大の企業に君臨しながらも消滅した鐘紡(後のカネボウ)に重なって見える」と話す。
「鐘紡は1980年代まで多角化を繰り返したものの結果が出ず、見せかけの利益を出すために粉飾決算を繰り返した挙げ句、会社更生法を申請。その結果、化粧品部門が花王に引き取られるなど四分五裂して命脈を絶ちました。
東芝は、命脈を保つために早い段階で売れる事業を次々と手放しています。そのほうが、ぎりぎりになって売るよりも高く売れるだけに賢い選択かもしれません。しかし、残された事業の展望がなければ、売るものがなくなった途端に行き詰まってしまうでしょう。
今後、東芝が生きる道をどうやって見つけていくのか、そして誰がそれを主導するのか。さまざまな課題が山積みのままです」
名門企業の存続をかけた絶体絶命の正念場。東芝が第二の鐘紡にならないためには、過去のしがらみやプライドを捨て、「新生東芝」として再出発させられる強い舵取り役も必要だろう。
撮影■横溝敦