2007年に胃がんと診断されたプロレスラーの藤原喜明


 安静にしていられなかったのは、自分の身体が衰えていくことに耐えられなかったからだ。

「術後8日目に入浴した時、鏡を見たらおじいさんの体になってた。すぐトレーニングを始めたかった」

 退院から8か月後には5分間のエキシビションマッチに出場し、その半年後には本格的にプロレス復帰した。復帰戦の対戦相手・佐山聡の執拗な蹴りを受けながら、藤原氏は「生」を感じたという。

「佐山は俺に早く倒れてほしくて腹を狙ってたらしいんだけど、俺はボコボコにされながら“生きてるって素晴らしいことだなァ”って思ってた。プロレスラーってバカだよな(笑い)。

 何でこんな無謀なことができたかっていうと、プロレスラーはリングの上では別世界の住人なわけよ。俺はマイクアピールが嫌い。お客さんに“応援お願いします”だなんて、カッコ悪くて言えねぇ。嫁や子供と一緒にテレビに出るなんて最悪だよ。リングと客席は別世界なんだから、私生活は見せないほうがいい。

 プロレスラーは永遠にカッコ良くなければいけない。そしたら女も寄ってくるしな(笑い)。今はアソコの勃ちが悪くなったけど、可愛い女の子には、いつまでも気を揉んでいたいねぇ」

【プロフィール】ふじわら・よしあき/プロレスラー。1949年岩手県生まれ。1972年に新日本プロレスに入団。関節技の鬼として知られる。後に「藤原組」を立ち上げる。陶芸、盆栽、イラストレーターなどの顔も。

撮影■ヤナガワゴーッ!

※週刊ポスト2017年2月24日号

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