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角居勝彦調教師、レースで調教師は馬より騎手を見る

レースで調教師はどこを見ているのか?(角居勝彦氏)

 パドックが周回を終えた競走馬にジョッキーが跨り、地下馬道を通って本馬場入場。調教師のやれることはここまで。あとは自分の馬を見守るだけだ。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、レースで調教師は何を見ているのかについて解説する。

 * * *
 馬場に入場し、返し馬の様子を見届けた後は、競馬場の調教師席に移動します。私は双眼鏡を使わない。肉眼で馬を追います。室内のモニターにも目をやります。

 いよいよゲートイン。スタートです。スタートの瞬間、思わず息を止めてしまいます。大事な大事な場面です。

 必ずしも好スタートを期待しません。ポンと好ダッシュを決めなくてもよし。しかし大きい出遅れだけはダメです。

「出遅れは馬の個性」などと言ってくれるファンもいるようですが、大きく出遅れるとJRAから指導を受けることになります。スタートがそろうことはレースの公平性につながるからです。

 ゲートが開いた瞬間、まっすぐ出られずに横にいってしまう馬もいる。馬は狭いゲートの中でじっと待っている。ところが馬体のバランスが取れないと、ゲートが開いたときに横によれてしまうんですね。

 出遅れがひどい場合にはゲート訓練のやり直しになります。そういう馬は狭いところでバランスを取ることが苦手なので、ますますゲートが嫌いになる。ゲートインが苦しいと思うから、うまくスタートできない。悪循環ですね。

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