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鉄道の「木質化」進む 木造駅舎も出現の背景

一畑電車の5000系には島根県産材で木質化したと示すヘッドマークが


 鉄道の歴史を紐解けば、1951(昭和26)年に桜木町駅で発生した車両火災で約200名の死傷者を出す惨事が起きている。同事故では、車両が木造であることが被害を拡大させた要因とされた。それを教訓として、鉄道会社は火事や地震といった災害時のリスクを少しでも軽減するべく、木造だった駅舎や車両は積極的に不燃化・難燃化された。

 そうした過去があるにも関わらず、鉄道分野における木質化が最近になって進んだ背景には、木材の加工技術が進化し、耐震性・耐火性が向上しているからだ。一畑電車営業部の担当者は

「車両の木質化に関しては不燃化・難燃化のために木の部分を薬剤処理などしています。防火のために木質化できない部分もありますが、できるだけ車両の部材に木を使うことで、温かみが感じられるような空間になりました」と説明する。

 鉄道の木質化に取り組んでいるのは、地方のローカル線ばかりではない。東京の大手私鉄・東急電鉄は”気になる電車プロジェクト”の一環で、昨年に池上線の戸越銀座駅を木造駅舎風に改築した。

 戸越銀座駅のホームは木の屋根と壁に覆われ、沿線の商店街にも調和したデザインとなっている。東急は駅ホームだけではなく、池上線内を走る1000系の内装も木質化。これら駅ホームと車両の木質化を、東急は”木になるリニューアル”と称して、沿線活性化の起爆剤に据えている。

 木を巡る環境は大きく変ろうとしている。鉄道の木質化は緒に就いた段階だが、駅舎や車両のみならず、鉄道なら昨今はコンクリートなどに代替されてしまっているマクラギを木製にすることも可能だろう。全国に延びる線路を支えるマクラギをコンクリートから木に替えるだけで、鉄道の木質化は格段に進む。

 これまではクラシックというイメージで語られがちな木造が、近未来というイメージに変化する日は確実に近づいている。

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