政府がゴリ押ししたTPP(環太平洋パートナーシップ)協定関連予算も、トランプ大統領がTPPから「永久に離脱する」という大統領令に署名して発効のメドが立たなくなったにもかかわらず、そのままになっている。安倍政権はTPP交渉が大筋合意した2015年10月以降、すでに合計1兆1906億円もの対策費を使い、来年度も「総合的なTPP関連政策大綱を実現するための予算」として1594億円を計上している。

 これについて政府は「農林水産業の体質強化といった、協定の発効を前提とせずに取り組むべき施策のためのものであり、発効いかんにかかわらず、実施していく必要がある」などと意味不明の説明をしているが、私には全く理解できない。要は農家などに対する選挙目当てのバラ撒きだが、TPPが発効する見込みがなくなった以上、その対策費は最優先で国債返済に使うべきだろう。

 今や農業は、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を使った最新技術によって、ほとんど人間が作業をしなくても生産性が上がるレベルに進化している。むしろ高齢化して生産性の低い農業の保護という「無駄な抵抗」をしなければ、早目にそちらに移行することができるのだ。しかし、そうした潮流に乗ることもなく、平均年齢が70歳を超えた稲作農家などに補助金を払って国の借金を増やし続けているわけだ。

 要するに、いま日本がやるべきなのは無駄な抵抗をやめて、削れる予算をどんどん削っていくことなのだ。とくに公務員や政治家の数は、AIやビッグデータなどを使えば大幅に削減できる。

「夢よ、もう一度」と高成長を目指して無駄なお金を垂れ流すのではなく、もはや日本は成長しえないという現実を受け入れて予算を可能な限り削減し、国債暴落などによって国の“底”が抜けないようにすることが先決なのだ。そうやって政府の無駄遣いをなくせば、この国は“軟着陸”することができ、ずっと住みよい国になるだろう。

※週刊ポスト2017年3月3日号

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