あとは日本史の参考書なんか片手に、歴史に着目する旅も楽しい。新幹線で西に向かうとき、名古屋を過ぎたあたりで毎回、「おお、関ヶ原! ここで家康率いる東軍と三成の西軍がー!!」と頭は法螺貝が鳴りまくり、もう少し進むと井伊さまの彦根城を、車内ワゴンで緑茶なんか買いながらチラ見。時速250kmくらいの新幹線の車窓からビュンビュンと歴史に触れる旅のオープニングは圧巻だ。

 まさに浪漫紀行。ロマンといえば古城跡なんかもいいですね~。たとえば山口の萩城。石垣くらいしか残っていないのだけど、この城を自ら脳内復元するのが、また、なんとも楽しいのです。近くに吉田松蔭の松下村塾。こちらは小池都知事の“希望の塾”の先駆けなのではと思えてくる。

 そんな想像力で膨らんだ頭で東京に帰ると、道路が整備されビルが立ち並ぶ高層都市、東京でさえも脳内復元で江戸化してしまうから面白い。脳内復元は費用がかからない、まさに現代を象徴する究極のコスパであります。

 そういえば! 2月24日からプレミアムフライデーという制度が始まった。毎月末の金曜日は午後3時までになるべく仕事を切り上げ、週末を少しでも長く取ろうという政府と経済界の試み。まさに金曜日の午後から、2.5日の旅に出られますね。

 もうすぐ春! 重いコートを薄手のトレンチコートに替え、冬色の縮こまった脳内を桜色した柔軟な脳内にシフトしてみようかな。

撮影/渡辺達生

※女性セブン2017年3月9日号

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