コラム

仏大統領選でルペン候補勝利なら金価格急騰も

フランス大統領選の結果次第で金価格急騰も

 欧州で選挙などの大型イベントが続く中、金市場はどのような展望となるのか。マーケット ストラテジィ インスティチュート代表取締役の亀井幸一郎氏が解説する。

 * * *
 金市場の動向を考える上で、2017年のキーワードになるのが「連鎖する不確実性」だ。今年の金価格に影響を与える不確実性要因として、米国のトランプ政権の行方、欧州で相次ぐ国政選挙などの政治的要因が最も大きく、年間を通して材料になるだろう。

 一方、金融・経済面では、米連邦準備制度理事会(FRB)が2016年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを決定し、2017年中に3回の利上げシナリオを示している。基本的に金市場では、米長期金利の上昇と米ドル高は金価格の頭を押さえる要因として常に意識される。このため、足元の金相場は、冒頭で述べた不確実性要因と、米国経済の成長加速期待に伴う利上げ観測との綱引きが拮抗する展開になると考えられる。

 不確実性が新たな不確実性を生む連鎖は、トランプ大統領誕生に端を発するといってもよい。彼が掲げる自国第一主義の流れが欧州に向かう可能性が高まっており、3月のオランダ総選挙、4~5月に予定されるフランス大統領選挙、秋に実施されるドイツの連邦議会(下院)選挙の行方は、金市場を読む上でも目が離せない。金市場では政治的要因、そこから派生する地政学的リスクなどが価格押し上げの材料になるからだ。

 これら欧州の国政選挙の中で、政権交代が起こりそうな可能性を否定できないのがフランス大統領選である。同大統領選は4月23日の第1回投票で首位の候補者の得票が過半数に届かない見込みのため、5月7日に2回目の投票(決選投票)が行なわれる予定だ。

 現時点では、反EU(欧州連合)・反グローバル化を唱える極右政党・国民戦線のルペン党首が支持率でトップを走っている。ただし、これまでは、決選投票に残ったとしても他の候補者の支持層が統一されるために、当選は難しいとみられた。したがって、決選投票では当初は、中道右派の有力候補・フィヨン元首相(サルコジ政権時代の首相)が勝利するものの、ルペン党首の追い上げによる危機感から金市場にマネーが流れ込むというシナリオが想定された。

 ところが、フィヨン元首相に妻の給与不正受給疑惑が浮上し、支持率が急低下。無所属のマクロン候補が浮上し、混戦模様となっている。ルペン党首が勝つシナリオも無視できなくなっている。もし当選すれば、市場には想定外の事態となる。

 その意味では、フランス大統領選に先立って行なわれるオランダ総選挙も重要なポイントとなる。政権交代にならないとしても、反EUを掲げる極右政党が議席数を伸ばすなど躍進した場合、その後の欧州各国の選挙に連鎖していく可能性がある。オランダの選挙結果はフランスの選挙に、フランスの結果はドイツの選挙に影響する。

 仮にフランス大統領選でルペン候補勝利となれば、2016年の英国のEU離脱(ブレグジット)決定時のように、その段階で金融市場は相当荒れ、金価格は急騰となろう。昨年6月下旬のブレグジット決定直後はリスク回避で金市場への資金流入が加速し、翌月の7月6日にはニューヨーク商品取引所(COMEX)金先物市場で、2016年の高値となる1トロイオンス(約31.1035グラム)=1377.50ドルをつけた。

 英国は今年3月末までにEU離脱を通告する予定であり、離脱交渉がいよいよ始まる。交渉自体は難航が予想されるが、一連の動きはフランスやドイツの世論を刺激し、反EU勢力が支持を伸ばしていく可能性もある。

マネーポスト2017年春号

トピックス

「第8回みどりの『わ』交流のつどい」で、受賞者に拍手を送られる佳子さま(2025年12月、共同通信社)
「心を掴まれてしまった」秋篠宮家・佳子さまが海外SNSで“バズ素材”に…子どもとの会話に外国人ユーザーらがウットリ《親しみやすいプリンセス》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ・BLACKPINKのリサ(Instagramより)
《目のやり場に困る》BLACKPINKのリサ、授賞式→アフターパーティの衣装チェンジで魅せた「見せる下着」の華麗な着こなし
NEWSポストセブン
3月末で「FOMAサービス」が終了する
《3月末FOMAサービス終了で大混乱!?》ドコモショップで繰り広げられた「老害の見本市」な光景、店員を困惑させる年配客たち 暗証番号わからず「どうにかして」、説明する店員に「最近の若いヤツは気がきかない」
NEWSポストセブン
「新年祝賀の儀」で彬子さまが着用されていたティアラが話題に(時事通信フォト)
《これまでと明らかに異なるデザイン》彬子さまが着用したティアラが話題に「元佐賀藩主・鍋島家出身の梨本宮伊都子妃ゆかりの品」か 2人には“筆まめ”の共通項も
週刊ポスト
真美子さんが目指す夫婦像とは(共同通信社)
《新婚当時から真美子さんとペアで利用》大谷翔平夫妻がお気に入りの“スポンサーアイテム”…「プライベートでも利用してくれる」企業オファーが殺到する“安心感”の理由
NEWSポストセブン
「講書始の儀」に初出席された悠仁さま(時事通信フォト)
《講書始の儀》悠仁さまが“綺麗な45度の一礼” 「紀子さまの憂慮もあって細かな準備があった」と皇室記者、新年祝賀の儀での秋篠宮さまの所作へのネット投稿も影響か
週刊ポスト
デビットベッカムと妻・ヴィクトリア(時事通信フォト)
〈ベッカム家が抱える“嫁姑問題”の現在〉長男の妻・ニコラがインスタから“ベッカム夫妻”の写真を全削除!「連絡は弁護士を通して」通達も
NEWSポストセブン
ニューヨーク市警に所属する新米女性警官が、会員制ポルノサイトにて、過激なランジェリーを身にまとった姿を投稿していたことが発覚した(Facebookより)
〈尻の割れ目に赤いTバックが…〉新米NY女性警官、“過激SNS”発覚の中身は?「完全に一線を超えている」
NEWSポストセブン
厳しい選挙が予想される現職大臣も(石原宏高・環境相/時事通信フォト)
《総選挙シミュレーション》公明票の動向がカギを握る首都決戦 現職大臣2人に落選危機、高市支持派アピールの丸川珠代氏は「夫とアベック復活」狙う
週刊ポスト
「ゼロ日」で59歳の男性と再婚したと報じられた坂口杏里さんだが…
《3年ぶり2度目のスピード離婚》坂口杏里さんの「ふっくら近影」に心配の声…「膝が痛くて…でもメンタルは安定してます」本人が明かした「59歳会社員との破局の背景」
NEWSポストセブン
笑いだけでなく「ふーん」「ええ!」「あー」といった声が人為的に追加される(イメージ)
《視聴者からクレームも》テレビ番組で多用される「声入れ」 若手スタッフに広がる危機感「時代遅れ」「視聴者をだましている感じがする」
NEWSポストセブン
北海道日高町で店の壁の内側から遺体が見つかった事件。逮捕された松倉俊彦容疑者(49)、被害者の工藤日菜野さん。(左・店舗のSNSより、右・知人提供)
「なんか臭くない?」「生ゴミを捨ててないからだよ」死体遺棄のバーで“明らかな異変”…松倉俊彦容疑者が見せた“不可解な動き”とは【日高・女性看護師死体遺棄】
NEWSポストセブン