「疲れや体調の悪さ、鎮痛剤をのんだことが影響したり、女性の場合、生理前に発症する場合もあります。また、食物依存性運動誘発性アナフィラキシーといって、原因食物(小麦、甲殻類など)を摂取した後に、運動した時だけ起きることもあります」(海老澤さん)

 つまり、いつ、誰にでも、アレルギーを発症する可能性があるということだ。とはいえ、「なりやすい人」と「なりにくい人」がいる。

 53才の主婦・溝口珠代さん(仮名)が口の中に異変を感じたのは、昨年夏のことだった。

「桃を食べている時に突然口の中がかゆくなってきたんです。その前に桃を家族のためにむいている時にも、手のひらや甲がザラッとした感じで、むずがゆくなっていました」

 それまで溝口さんには食物アレルギーはなかったが、花粉症は患っていた。海老澤さんが言う。

「花粉症の原因の1つであるハンノキやシラカバなど、カバノキ科の花粉に含まれるたんぱく質と、りんごや桃、さくらんぼなどバラ科の果物に含まれるたんぱく質が似ているため、花粉に対して作られたIgE抗体がそうした果物にも反応して、アレルギーを発症することがあります。それらの花粉症の人は、その可能性があるといえるでしょう」

 国立病院機構相模原病院が患者153人に調査した結果、大人の食物アレルギーの原因は、りんご、桃、梨などの果物・野菜が48.4%で最多だった。「大人の食物アレルギーの場合、根本的な治療は難しく、原因物質を避けるしかありません。

 そのためには原因物質を正しく特定することが大切です。例えば魚介アレルギーだったと思い込んでいた人が、実は魚介に含まれるヒスタミンによる中毒だったというケースもよくあります。自分で勝手に判断してしまう人が多いのですが、専門医を受診して血液検査や皮膚テストなどを受け、きちんとした診断をもらうことが大切です」(海老澤さん)

※女性セブン2017年3月23日号

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