同じ仕組みで、スギ花粉の成分を含んだ特殊な米を食べることによる治療法への期待も高まっている。米には胃で消化されず腸まで届くたんぱく質が含まれているため、そこにスギ花粉のアレルゲンを蓄積させれば、腸に直接届く。花粉症の人がそれを毎日食べれば、体内の免疫システムはアレルゲンを“異物”と認識しなくなり、アレルギー反応を抑えられるというのだ。
この「花粉症緩和米」の臨床研究を行っている大阪大学免疫アレルギー内科の田中敏郎さんが言う。
「舌下免疫療法ではスギ花粉の原因物質を体内に入れることでIgE抗体が症状を悪化させたり、アナフィラキシーを起こす危険もあります。しかし、花粉症緩和米のたんぱく質は小さいのでIgE抗体には結合せず、副作用の心配がほとんどありません。マウスの実験ではすでに免疫の働きを抑え、IgE抗体が減少するというデータが出ています。将来的には、花粉症だけでなく、ダニ、食物などのさまざまなアレルゲンを米に蓄積させることで、特定のアレルギーを抑えることも可能になると思います」
花粉症緩和米は2020年の実用化を目指しているという。
※女性セブン2017年3月23日号