国内

スギ花粉症 花粉成分含む「緩和米」を食べる治療法に期待

画期的な治療が続々登場

 日本人の4人に1人が罹患しているとされるスギ花粉症は、今はまだ症状を軽減する対症療法が主流だが、最近では根治も可能な「舌下免疫療法」が注目を集めている。日本医科大学教授で同付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長を務める大久保公裕さんが説明する。

「スギ花粉の原因抗原を含むシダトレンを、毎日少量ずつ、舌の裏側の付け根に垂らしていくことで、長期間かけて少しずつアレルギー反応を抑えていく方法です。花粉症のアレルギーに深く関係するリンパ節は鼻の奥にあるので、舌下からエキスを吸収させることで届けやすくなる」

 花粉の中のアレルギー原因物質を少しずつ体内に取り入れる免疫療法は1960年代から行われてきたが、従来は皮下注射によるもので、患者の負担が重く、治療を行う病院も限られていた。

 その点、舌下免疫療法は自宅でも簡単にできるのが大きなメリットだ。2014年に公的医療保険の適用が始まったばかりだが、口コミなどを通じて広まり、2016年末までに6万2000人が治療を受けているという。ただしスギ花粉シーズンは治療を始められないので、「試してみたい」という人は来シーズンからになる。

「治療期間は2年ほどかかりますが、7~8割の人が効果を感じています。しかも一度治れば、その後は何もする必要がありません」(大久保さん)

 舌下免疫療法が根治につながる理由は、免疫細胞の一種である「制御性T細胞(通称・Tレグ)」の働きを活発にすることにある。Tレグは1995年に大阪大学の坂口志文教授が発見したもので、「世紀の発見」といわれている。

 アレルギー反応は免疫の働きが過剰になることで起こるが、免疫の働きが過剰になった時に、その働きを制御するのがTレグだ。スギ花粉を一定量体内に取り入れ続けると、体はスギ花粉を“外敵ではない”と認識し、免疫の攻撃を止めるTレグを作る。

関連キーワード

関連記事

トピックス

部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
亡くなった辻上里菜さん(写真/里菜さんの母親提供)
《22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人事件」に新証言》裁判で認められた被告の「女性と別の男の2人の脅されていた」の主張に、当事者である“別の男”が反論 「彼女が殺されたことも知らなかった」と手紙に綴る
NEWSポストセブン
ポストシーズンで快投をみせる佐々木朗希
「ポテンシャルは大谷以上」復活快投の佐々木朗希 昭和の大投手たちが太鼓判「1年間投げ続けられれば本当にすごい投手になる」
週刊ポスト
ものづくりの現場がやっぱり好きだと菊川怜は言う
《15年ぶりに映画出演》菊川怜インタビュー 三児の子育てを中心とした生活の中、肉体的にハードでも「これまでのイメージを覆すような役にも挑戦していきたい」と意気込み
週刊ポスト
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
田久保市長の”卒業勘違い発言”を覆した「記録」についての証言が得られた(右:本人SNSより)
【新証言】学歴詐称疑惑の田久保市長、大学取得単位は「卒業要件の半分以下」だった 百条委関係者も「“勘違い”できるような数字ではない」と複数証言
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン
国民民主党の玉木雄一郎代表、不倫密会が報じられた元グラビアアイドル(時事通信フォト・Instagramより)
《私生活の面は大丈夫なのか》玉木雄一郎氏、不倫密会の元グラビアアイドルがひっそりと活動再開 地元香川では“彼女がまた動き出した”と話題に
女性セブン
バラエティ番組「ぽかぽか」に出演した益若つばさ(写真は2013年)
「こんな顔だった?」益若つばさ(40)が“人生最大のイメチェン”でネット騒然…元夫・梅しゃんが明かしていた息子との絶妙な距離感
NEWSポストセブン
ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン