「海外でも“食物アレルギーは炎症のある皮膚から起こる”という研究結果が出ています。アトピー性皮膚炎を治療しないと、皮膚のバリア機能が弱くなり、卵成分をはじめとした刺激物質が皮膚に侵入して、アレルギー反応を起こしやすくなります」
アトピー性皮膚炎は、ぜんそくや食物アレルギー、花粉症など成長するにつれていろんなアレルギー疾患を発症する「アレルギーマーチ」の起点になりやすい。子供の場合、小さい頃からアトピー性皮膚炎をしっかりと治療し、皮膚のケアをすることが大切なのだ。
「子供の肌の乾燥や湿疹を放置しておくのはアレルギーにとってよくない。自分のよだれや汗も刺激になるので、石鹸でしっかり洗い流してきれいにした後に、赤ちゃん用の保湿剤などを塗って皮膚バリアを強くする。ただし、ピーナッツオイルなど食品由来の成分を含む外用剤は避けた方がいい」
と成田さん。炎症のある皮膚は外用剤に含まれるたんぱく質を“異物”と認識し、アレルギー反応を起こすことがある。アレルゲンとなるものは、皮膚よりも先に腸から取り入れることでアレルギーの予防になるという。
こうした皮膚からの食物アレルギーは、大人でも報告されている。2009年頃から通販で人気だった洗顔石鹸を使用した人が次々にアレルギーを発症して社会問題になった事件では、石鹸に含まれていた小麦の成分が原因だった。
「この事件では、それまで小麦製品を食べても平気だった人が、皮膚から入ってきた小麦によってアレルギーを生じました。皮膚でのアレルギー反応が、腸からの免疫寛容も打ち消すほど強くなるというのは衝撃でした。大人でもアレルギー体質のかたは、肌の乾燥や湿疹には気をつけてください」(成田さん)
※女性セブン2017年3月23日号