コラム

eMAXIS新シリーズ登場で投信の信託報酬競争どうなる

信託報酬引き下げで海外投資の好機か

 投資信託の信託報酬の引き下げ競争が激化している。信託報酬とは投信の手数料の一種で、投信を保有している間は、ずっとかかり続けるコストだ。投信市場の最新動向について、楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏が解説する。

 * * *
 投資信託業界の2016年の特徴のひとつとして、信託報酬の引き下げがある。特に、インデックスファンドの引き下げは顕著で、商品性が類似する上場投資信託(ETF)に接近したことで限界だと思われた。しかし、ここにきて、さらなる引き下げの動きが出て驚いている。

 日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といった指数に値動きが連動するインデックスファンドは、ここ数年、自分で分散投資をする個人投資家の間でかなり定着してきた。そこで、各運用会社は、低コストのインデックスファンドをシリーズ化してアピールしている。新しく発売されるシリーズは、既存のシリーズよりも低い信託報酬であることをウリにしており、それが繰り返されることで引き下げが進んだ格好だ。

 そんな中、2009年10月に登場した老舗シリーズといえる『eMAXISシリーズ』を運用する三菱UFJ国際投信が、おそらく業界初となる試みを発表した。主要なインデックスファンドの信託報酬について、他社よりも常に低くするという。つまり、他社が引き下げたら、追随してさらに引き下げる、ということである。何やら家電の販売を連想させるが、その大胆な発想は評価できる。

 信託報酬は保有期間中にずっとかかる手数料で、投資信託のコストの中ではもっとも大きな負担となるもの。こうした動きがさらなる引き下げ競争につながるのか、注目したい。なお、eMAXISの新シリーズ『eMAXIS Slim』は、2月末から4本のラインナップでスタートしている。

 よく、インデックスファンドについては、市場平均を上回るパフォーマンスを目指すアクティブファンドとどちらが有利か、という議論があるが、こと海外株式に投資するファンドの場合、インデックファンドを上回る運用成績を出すアクティブファンドは、見当たらないのが現状だ(国内株式にはかなりある)。

 保有するポートフォリオが国内株式に偏っている人は、昨今の信託報酬引き下げの動きが、海外株式のインデックスファンドに投資するいいタイミングになるのではないか。

マネーポスト2017年春号 

トピックス

「木下MAOクラブ」で体験レッスンで指導した浅田
村上佳菜子との確執報道はどこ吹く風…浅田真央がMAOリンクで見せた「満面の笑み」と「指導者としての手応え」 体験レッスンは子どもからも保護者からも大好評
NEWSポストセブン
石破首相と妻・佳子夫人(EPA=時事)
石破首相夫人の外交ファッションが“女子大生ワンピ”からアップデート 専門家は「華やかさ以前に“上品さ”と“TPOに合わせた格式”が必要」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ノックでも観客を沸かせた長嶋茂雄氏(写真/AFLO)
《巨人V9の真実》王貞治氏、広岡達朗氏、堀内恒夫氏ら元同僚が証言する“長嶋茂雄の勇姿”「チームの叱られ役だった」
週刊ポスト
中村芝翫の実家で、「別れた」はずのAさんの「誕生日会」が今年も開催された
「夜更けまで嬌声が…」中村芝翫、「別れた」愛人Aさんと“実家で誕生日パーティー”を開催…三田寛子をハラハラさせる「またくっついた疑惑」の実情
NEWSポストセブン
現場となったマンホール
【埼玉マンホール転落事故】「どこに怒りを…」遺族の涙 八潮陥没事故を受けて国が自治体に緊急調査を要請、その点検作業中に発生 防護マスク・安全帯は使用せず
女性セブン
ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
安倍昭恵夫人に「出馬待望論」が浮上するワケ 背景にある地元・山口と国政での「旧安倍派」の苦境
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《秘話》遠野なぎこさんの自宅に届いていた「たくさんのファンレター」元所属事務所の関係者はその光景に胸を痛め…45年の生涯を貫いた“信念”
週刊ポスト
政府備蓄米で作ったおにぎりを試食する江藤拓農林水産相(時事通信フォト)
《進次郎氏のほうが不評だった》江藤前農水相の地元で自民大敗の“本当の元凶”「小泉進次郎さんに比べたら、江藤さんの『コメ買ったことない』失言なんてかわいいもん」
週刊ポスト
川崎、阿部、浅井、小林
女子ゴルフ「トリプルボギー不倫」に重大新局面 浅井咲希がレギュラーツアーに今季初出場で懸念される“ニアミス” 前年優勝者・川崎春花の出場判断にも注目集まる
NEWSポストセブン
6年ぶりに須崎御用邸を訪問された天皇ご一家(2025年8月、静岡県・下田市。撮影/JMPA)
天皇皇后両陛下と愛子さま、爽やかコーデの23年 6年ぶりの須崎御用邸はブルー&ホワイトの装い ご静養先の駅でのお姿から愛子さまのご成長をたどる 
女性セブン
「最高の総理」ランキング1位に選ばれた吉田茂氏(時事通信フォト)
《戦後80年》政治家・官僚・評論家が選ぶ「最高の総理」「最低の総理」ランキング 圧倒的に評価が高かったのは吉田茂氏、2位は田中角栄氏
週刊ポスト
スーパー「ライフ」製品が回収の騒動に発展(左は「ライフ」ホームページより、みぎはSNSより)
《全店舗で販売中止》「カビだらけで絶句…」スーパー「ライフ」自社ブランドのレトルトご飯「開封動画」が物議、本社が回答「念のため当該商品の販売を中止し、撤去いたしました」
NEWSポストセブン