自分は四六時中スマホを使っていても、「子供の長時間使用は気になる」という親は少なくないだろう。2月27日に発表された内閣府の調査では、10~17才の青少年の約8割が何らかの機器でインターネットを利用し、高校生の約7割はスマホで1日2時間以上インターネットを利用していることがわかった。
一時期、若者のオンラインゲーム依存が“ネトゲ廃人”などと呼ばれて問題になったが、最近では“スマホ依存”が急増している。ネット依存外来のある成城墨岡クリニック院長の墨岡孝さんが言う。
「年齢的には18~20才がピークで、下は小学生から上は30代半ばくらいまで。依存症は自分自身では気づかないので、悩んだ末にお母さんら家族が相談に来ます。スマホばかりやっていて成績が落ちたとか、生活が不規則になって学校に行けないなど、進級・進学にかかわることが多いですね。社会人では、就業時間中までスマホに没頭してしまうために仕事効率が落ちるといった問題があり、同僚や上司のかたがまず相談に来ます」
まだiPhoneが日本で発売される前の2007年に成城墨岡クリニックを訪れたネット依存患者は81人。それが昨年は200人ほどにまで増えた。相談内容も変化しているという。
「以前はゲーム依存に関する相談が多かったのですが、2011年以降はスマホやタブレットが普及した影響で、写真などの個人情報の拡散や、自分の言葉が誤解されて広まるなど、悩みが複雑化しています。女性の場合、20才をすぎてからツイッターやLINEを続けることで依存症になるケースが多い」(墨岡さん)
スマホと“成績低下”の関係を顕著に示す調査データもある。宮城県仙台市が毎年4月に行う学力調査に合わせて、約7万人の小中学生を対象に生活習慣や学習習慣、家族とのコミュニケーションなどを聞くアンケートを実施。その結果を分析したところ、スマホの使用時間が長くなるにつれて正答率が下がるという結果が出た。