つまりスマホに気を取られながら勉強していると、スマホから得た情報だけが認知され、勉強した内容は記憶されずに終わる可能性が高いというわけだ。さらに枝川さんは、大人なら「認知症のような状態になるリスクもある」と警鐘を鳴らす。
「30代後半になると“物忘れが多くなる”と思いがちですが、実際には“物覚え”が悪くなっているんです。スマホは便利ですが、便利さがすぎると脳の機能性を弱めます。例えば何でもグーグル検索で済ます癖がついていると、いろんなことを自分で覚えないで、スマホに任せればいい。これを“記憶の外部委託”と呼んでいますが、そのことで脳の記憶の容量が小さくなって物が覚えづらくなってしまうケースも散見されます。将来的には認知症のような状態になる可能性もあるのです」
前出・横田さんによれば、とくに影響が大きいのは、LINEなどの通信アプリ。先の調査では、スマホを短時間使ってやめた生徒は偏差値が上がっていたが、LINEなどの通信アプリの場合、短時間でも使っていた生徒は、使用をやめても成績が上がらないという結果が出た。
「過去に使用したことがあるというだけで成績に悪影響が出るという結果には、私たちも驚きました。LINEなどをやっていると、たとえ返信が来なくても“まだ読んでいないのか?”“読んでいるのに返ってこないのか?”と気になって、勉強に対する集中力が切れてしまう。
LINEを習慣的に使用した場合の脳への影響として、物事に集中したり注意の切り替えを行う機能にかかわる前帯状回という脳部位が小さくなってしまうことが考えられます。海外の研究では、スマホなどの使用習慣が多くある人ほど、前帯状回が小さいということがわかっています」(横田さん)
※女性セブン2017年3月30日・4月6日号