「みなさん『お墓で子供に迷惑をかけたくない』とおっしゃいます。子供は将来どこに住むことになるかわからない。お墓が足かせになったらかわいそうだから、自分たちの世代でケリをつけておきたいと。そのため、昨今の傾向は、1世帯か2世帯用で充分という『核家族化』。そして『郊外の一戸建てから都心のマンションへ』。住宅や家族をとりまいて起きた現象が、お墓にも波及してきているんです」
言い得て妙だが、納得。「核家族化」「都心のマンション化」を如実に物語るのが自動搬送式の室内墓なのだ。
はせがわによると、目下、首都圏に建設中を含め約30か所の自動搬送式の室内墓がある。1か所につき基数は平均4000~5000。完売すれば使用者数は12万~15万人にのぼる。8か所の都立霊園の使用者は約28万人だから、自動搬送式の室内墓は誕生して10余年でその約半数を占めるようになったわけだ。
葬送ジャーナリストの塚本勝さんはこう話す。
「律儀にお墓参りをしてきた人であればあるほど、自動搬送式の室内墓には違和感があったと思います。しかし、思い切って改葬した結果、お参りの頻度が年1回から月1回に上がったとの声をよく聞き、室内墓はいい具合に改葬の受け皿となっていることは確かです。義務的なお墓参りから“卒業”し、近親者をカジュアルに温かく弔いたいという気持ちの表れでしょう」
こうした「新しいお墓」は私たちの中に残る違和感や抵抗感をやすやすとのみ込む勢いで増えている。
※女性セブン2017年3月30日・4月6日号