──ブランドからタイアップなどの話は来ませんか?
MB:たくさんいただきますね。服を送ってくださるブランドもあります。が、「いただいたものは紹介しない」、というルールを設けています。僕のビジネスにおいて、何より大事なのは情報の純度を高めることだから。そのために、一人でやっているという面もあります。どこかのブランドや小売店に所属してこうしたビジネスをすると、どうしても利害関係が発生しますよね。一人にならないと、僕の情報は価値を生まないと考えました。
──ご自身のビジネスはすべてMBさんお一人で考えていらっしゃるのですか?
MB:そうですね。ファッションに関するコンテンツもそうですし、マーケティング理論も、以前から独自に作っていました。僕、マーケティングも好きなんです。独立する前のサラリーマン時代は、社内ベンチャーを立ち上げてその代表になり、試行錯誤していました。マーケティングを使ってコンサルタントをしようかなと考えた時期もありましたが、やっぱりファッションが好きだったんですね。独立して今年で5年くらいかな、一日も休んだことはないけどやって来られているのは、好きだからだと思います。
◆「MB」に「意味はないんです」
──今後、女性ファッションを展開されるご予定はありますか?
MB:バイヤー時代はレディースブランドを扱っていたのもあり、そういうお話はたくさんいただくのですが……今は、男性のファッション文化を日本に根付かせたいという思いが強いですね。もう少し腰を据えて取り組みたいなと。
──裏を返せば、日本には男性のファッション文化が根付いていない、ということですね。
MB:よく言うのですが、イギリスでは、男の子はお父さんから背広の着方を学ぶんです。ファッションにおいては、日本は欧米より歴史が浅く、その分、文化としては遅れています。自然に文化が根付くには、長い時間が必要でしょう。けれど後進国でも、定理・法則を学べば、近道ができる。僕がその近道を示すことで、日本に少しでも男性ファッション文化が根付いてくれたらと願っています。
ただ最近、幼稚園のPTAの講師に来てくれないかと、声をかけていただきました。ありがたいことに、ママたちの間で僕の本が流行っているようで。
──旦那さんをオシャレにするために、MBさんの本が読まれている?
MB:旦那さんや息子さんをオシャレにしたいと、女性が読んでくださっているようです。僕のサイン会にも、女性読者さんも来てくださるんですよ。女性にも手に取っていただいて、旦那さんや息子さんがオシャレになり、さらには自分でもオシャレをするようになったら嬉しいですね。
──最後にMBさんって、なぜ「MB」なんでしょう? どういう意味を込められているんですか?
MB:特に意味はないんです(笑)、メンズバイヤーとか、メンズブロガーとか、マストバイとか、ゴロあわせ的に言うことはできますが、これという意味は設定していない。正直、本名でもよかったんですよ。ただ、極めて突っ込みどころのないレベルでコンテンツを完成させたから、名前くらい、突っ込みどころがあったほうが親しみやすいかなと。成功しているかどうかはわかりませんが。
もう一つ、これも思いつきですが、一般名詞であるメガバイト(MB)を超えたいなとも。いまグーグルで「MB」を検索すると、メガバイトより、僕のサイトが上に表示されるんです。それも知名度の指標の一つかもしれないですね。とにかく、こうやってあれこれ考えるのが好きなんです。好きだから、常に考えていられるんでしょうね。
●MB/ファッションバイヤー、ブロガー。プロバイヤーとして活動する傍ら、2012年12月にWEBサイト「現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法 KnowerMag」(http://www.neqwsnet-japan.info/)を開設。男のオシャレをロジカルに語れる新しい存在として絶大な支持を集めている。著書に『最速でおしゃれに見せる方法』等多数