トラック輸送を貨物列車に切り替える潮流は、今年に入ってからも加速している。従来、トヨタ自動車は自動車部品を愛知県から岩手県まで輸送する貨物列車「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」を運行してきた。今年3月のダイヤ改正で、「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」は一日2往復に増便。流通大手のイオングループもメーカー各社と協力し、東京-大阪間の商品配送に貨物列車の活用を模索している。
今年1月には、ビール業界1位のアサヒと2位のキリンが鉄道貨物で北陸地方への共同配送を開始。両社のビールは大阪の吹田貨物ターミナルから同じコンテナに積載されて、石川県の金沢貨物ターミナルへと運ばれる。さまざまな業界がトラック輸送から鉄道貨物へシフトしたことで、JR貨物は24年ぶりに黒字化を達成した。
社会環境の変化が貨物列車の需要を拡大させたことは間違いない。だからと言ってJR貨物が手をこまねいていたわけではない。JR貨物も赤字に苦しみながら、どうにか売上を伸ばそうと地道に努力をつづけてきた。
例えば、1992(平成4)年前後から輸送力を増強するために一編成の長大化を進めている。一編成が長大化すれば、一度に運べる荷物の量は増え、より効率的になる。