「政府の閣法でたばこ規制するには無理がある」と大野議員
──また、議連では歩きたばこやポイ捨ての禁止など、屋外の喫煙環境整備についても検討を重ねています。
松原:何歩、何メートル歩いたら「歩きたばこ」にあたるのか、または、たばこを何本捨てれば軽犯罪に問えるのかなど、定義づけが難しい部分はありますが、屋外のルール違反についてはきっちりペナルティーを科すことは必要だと思います。
むしろ屋外をすべて禁煙にして、たばこを吸う人は限られた喫煙所に閉じ込めたほうが、よほど受動喫煙防止に効果的だという人もいます。
しかし、この意見は暴論です。人口密度が高い都会のオフィス街ならいいでしょうが、屋内喫煙所もない田舎はそうもいかないでしょう。林業に携わる人が休憩時間に木の幹に座って一服しただけで「アウト」なのか。規制をかけるならば、そうした地域間の違いも考慮しなければなりません。
──例外を考えていたらキリがないとは思いますが、結局、一律規制の法案化は日本の喫煙環境には馴染まないと指摘する向きもあります。
松原:われわれ民進党議連の法律案でも、緩和ケア病棟や精神病棟に入院する患者の喫煙はリラックス効果をもたらす事もあるので例外にしようとか、周囲に飲食店のない地方のホテル内レストランは選択の余地がないので全面喫煙は認めないようにしようとか、細かいケースまで想定して議論を重ねてきました。茶道で許されている喫煙具の設置も個人宅の茶室はよくて公民館の茶室はダメなのか……とか。
また、副流煙の健康被害が証明されていない「加熱式電子たばこ」についても、法律の対象に加えるかどうか、今後も議論を続けていかなければなりません。“疑わしきは罰せず”という言葉もありますしね。
──いずれにせよ、法案化するには現状に即した形にすべきという考えですね。
松原:厚労省は2020年のオリンピック開催を好機と捉えて、悲願だった「たばこ問題」を一気に進めたいと考えているのでしょう。しかし、はじめから規制ありきの締め付けではかえって混乱を招くばかりです。「全面禁煙」というのであれば、たばこを商品として流通させなければいいわけですしね。
たばこ問題に限らず、行き過ぎた“ファシズム”を是正し、もっと現実社会を直視してダイバーシティを認める社会にならなければ、日本人はますます萎縮してしまいます。