「最新のものを集結し、昨年の10月8日にグランドオープンしました。屋外の感覚でお参りいただけるように配慮した設計です。室内のイメージを取り払うとともに、お参りに来た日の気分で墓石の色を選べるよう、赤、白、黒の3種類をご用意したんです。赤は、インペリアルレッドというインド産の高級御影石です」と、柴田さんは言う。
確かに──テラスは5か所の参拝スペースへの通路ともなるため、参拝を前に陽光を浴びたり、風を感じたりできる。参拝スペースのガラスドアを開けたまま「外の空気」を入れながらのお墓参りも可能で、外墓に近い開放感があるわけだ。
赤の墓石は、最初「えっ?」と思ったが、不思議なことに5分もしないうちに目になじんだ。妙な言い方だが、次第に「おしゃれなお墓」だなと思えてきた。
以前、郊外の霊園での墓じまいを取材したとき、墓石の下のカロート(納骨場所)に、年月を経た骨壷が入っていたのをまじまじと見た。薄汚れたコンクリートに囲まれ、下は土。じめじめした空間で、遺骨が水浸しになった骨壷もあった。骨はモノだから状態がどうであれ関係ないと思おうとしたが、なんだか不憫だった。「1日に1滴ずつ骨壷に水が入っても、長い年月で自然とこうなります。よくあることです」と墓じまい業者が教えてくれたことを思い出す。
館内の保管庫に収納される自動搬送式の室内墓ではそうはならず、骨壷は清潔に保たれる。この「おしゃれなお墓」は、故人にとって気分のいい居場所かもしれない。いや、気を使って「保管庫」と書いているが、言ってみれば、ここに限らず自動搬送式とは、つまり倉庫形式じゃないか、と胸の内であれこれ思う。
※女性セブン2017年4月20日号