民主党政権時代、与党としての民主党は3年3か月の間に、衆参両院の委員会で24回も強行採決をしています。朝日新聞がその時、安倍政権に対するのと同じように民主党を批判したでしょうか。そうではなかったと思います。朝日新聞は一方の非を棚に上げて、安倍政権に狙いを定めたかのように、そう思われても仕方がないほど、一方的に批判しているわけです。
米軍普天間飛行場の移設問題についても同日付の朝日新聞社説は、
〈沖縄の未来をつくる主人公は沖縄に住む人々だ。その当たり前のことが、首相の演説からは抜け落ちている〉
と批判しました。沖縄に辺野古移設への批判があるのはよくわかっています。同時に、私は辺野古地区にも実際に行って取材しましたから、反対論ばかりではないことも知っています。むしろ、久辺3区と呼ばれる地元では受け入れ派のほうが圧倒的に多いのです。
久辺3区という地元の中の地元の人たちは、米海兵隊と長年にわたって非常によい関係を築いてきました。また、この人々は地政学上、沖縄が中国に席巻されてしまえば、沖縄だけでなく日本全体が危機に瀕することを理解しています。普天間飛行場の移設はもちろん沖縄の問題ですが、日本全体の問題でもあるのです。この社説にはこうした視点が完全に〈抜け落ち〉ています。