1月26日の社説では〈財政再建 決意ばかりの無責任〉と題して、安倍首相の国会答弁を糾弾しました。

〈首相は経済成長による税収増を強調するが、それだけでは達成はおよそ見通せない。にもかかわらず、歳出の抑制・削減や、消費税を中心とする増税には及び腰である。どうやって実現するのか、決意ばかりで具体的な説明はない。あまりに無責任だ〉

 財政再建は、民主主義国家においては極めて難しい課題です。予算のどこかを削れば必ず反対が起きます。

 日本経済は為替レートなど外的要因を受けて、経済成長の目標達成は思い通りにいきません。アベノミクスによる成長は足踏みしているのは事実だと、私も思います。それでも税収は増え、失業率が下がるなど、かつての民主党政権下の経済よりずっと好転しています。

 朝日新聞はそうした改善された面は見ないかのように〈歳出の抑制・削減や、消費税を中心とする増税には及び腰〉と批判しています。

 ということは、歳出の削減や増税をすべきと考えているのでしょうか。であるなら、そういう主張も展開してほしいですね。しかし、もし政府が歳出削減や増税を打ち出せば、また朝日は大きな批判を繰り広げるのでしょう。

●さくらい・よしこ/新潟県長岡市出身。ハワイ州立大学卒業。元日本テレビ「きょうの出来事」キャスター。1995年、『エイズ犯罪 血友病患者の悲劇』で大宅賞受賞。執筆・講演活動を続ける一方、インターネット放送「言論テレビ」を運営中。

※SAPIO2017年5月号

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