単に本を売る店ではない、書店としての新しい形──実は、これこそが本来の“町の本屋”の姿なのかもしれない。
『まちの本屋』(ポプラ社)の著書がある岩手県盛岡市のさわや書店フェザン店の田口幹人店長の実家は2007年に閉店するまで、岩手県西和賀町で小さな書店を営んでいた。20坪ほどの店内には化粧品や駄菓子、雑貨、おもちゃ、土産物も並んでいたという。
「店の繁盛のピークはぼくが小学生の頃で、レジの横には応接セットがあり、そこに町の人がみんな集まって、お茶を飲んだりしていました。店が終わると、そのまま酒を飲み始めたり。子供心に、本屋っていい場所なんだなぁと思っていました」(田口さん)
さわや書店では今年5月に新しい店舗をオープンさせるが、そこには田口さんの“町の本屋を復活させたい”という思いが強くにじんでいる。
「イベントスペースを作って、いろんな分野の専門家にトークショーをやってもらう。例えばビール会社の社長にビールについて話してもらい、ビール関連の書籍を買うとそれが入場券になる。そんな試みもやってみたい。昔のようにもう一度、コミュニケーションの場としての書店を目指したいですね」(田口さん)
※女性セブン2017年4月27日号