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2017.04.20 16:00  SAPIO

戦後の矛盾に気付き冷戦後の迷走も予測 甦る山本七平の言葉

◆諸刃の剣

 山本七平を改めて読むと、今のいわゆる保守派の日本文化論の幅が狭くなってきていることに気付く。一般的に山本は保守派として知られているが、現在の保守派の中には全く受け付けない人間も出てくるだろう。本質を突く山本の言葉は、諸刃の剣となるが、それこそが思想家としての面白さなのだ。

 今なら天皇の譲位問題のことも、山本に聞いてみたい。きっと皇室典範の改正を主張するのではないかな。特措法は「法の外」であるからだ。しかし改正となると「天皇とは何か?」という根本から議論しなければならない。山本の視点であれば、そうなるはずだ。

 山本七平は一種の預言者であると考えている。未来を予測する予言ではなく、神の言葉を預かる者。大いなる何かから言葉を預かり、それを語る。その預言は、やはり日本人への預言であったのではないかと感じる。彼が遺した多種多様な著作は、現在だからこそそこに通底する深い意味が見えてくるのではないだろうか。

【PROFILE】富岡幸一郎●1957年東京生まれ。中央大学文学部フランス文学科卒業。在学中に執筆した「意識の暗室―埴谷雄高と三島由紀夫」で、「群像」新人賞評論優秀作を受賞、文芸評論活動に入る。関東学院大学文学部比較文化学科教授、鎌倉文学館館長。

◆取材・構成/大木信景、浅井秀彦、原田美紗(以上、HEW)、清水典之

※SAPIO2017年5月号

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