「茨城弁の“っぺ”はP音。パ行の音は幼児語でもたくさん出てきて、音感としてかわいいイメージがあります。同じように語尾についても、“ベ”よりは、“ぺ”の方がかわいい印象を受けますよね。だから耳にも心地がいい。山形の庄内地方には、北前船の影響で京都の言葉が入ってきているので、語尾に“のぅ”をつけるんです。“○○だのぅ”って、“だ”で終わらないことでやわらかい印象を与えて、語尾がふんわり伸びるのでゆったりと耳に響きます」
前出の篠崎さんは、「自分とは違った話し方をしていると、そこに惹かれる原理がある」と指摘する。
「『あれ、あの人が話している言葉は平凡じゃないな』と、自然に意識が向いていくのです。ゆったり、やわらかなイントネーションの方言に癒されると感じる人が多いのも事実。
容姿で目立つ人もいれば、話し方で目立つ人もいるということ。聞き慣れない方言を使うことは、“モテ”要素にもつながると思います」
それだけじゃない。時にはささくれ立つ相手の心をなだめ、やさしく癒す。嫁姑関係や夫婦関係、時にはビジネスシーンでも方言がパワーを発揮することもある。
「謝っても通じない時に、普段とは違った関西弁で『かんにん』と言うと打ち解けるとか、そういう効果はあると思います。
夫や姑相手でも、ありきたりな表現だと関係が改善しないけど、ちょっと方言を入れてみると、『えっ』と不意を突かれる。そこでコミュニケーションが再開する期待は大いにあります。関係修復のきっかけとして、方言を使うのはオススメです」(篠崎さん)
営業でも、初対面の相手との会話のきっかけに出身地の話題を切り出すのは、非常に有効だ。
「同郷だとわかると親近感から話が膨らんだり、距離が縮んだりもしますから、商談が進むことも多く、方言はかなり効くそうです。主婦であればママ友との会話でも、方言トークは仲よくなるきっかけになるはずですよ」(篠崎さん)
※女性セブン2017年5月4日号