表面上は創業家の影響力がなくなったはずの企業でも同様だ。三菱、三井、住友の三大財閥は、戦後の財閥解体で創業家と切り離されたはずだった。しかし、実際には創業家が築き上げた「掟」が、いまもグループの精神的支柱として機能している。いや、その傾向はますます強くなっていると言っていい。『経済界』編集局長の関慎夫氏は言う。
「今や世界中で経済環境は厳しくなり、依って立つ何かが必要になってくる。そういうときに創業家は求心力になれる。創業家が経営から離れた企業の場合でも、創業者の教えを新入社員のときから叩きこまれていれば、何か困ったときには創業者の精神に頼ることで、会社が一つになれる効果がある」
※週刊ポスト2017年5月5・12日号