「創業者一族は愛社精神が非常に強い。先祖が作った会社は損得なしに守りたいと考える。出光の創業者一族はそれまで経営に口出ししていなかった。それが経営陣が企業風土が違う昭和シェルを経営統合に選んだことから、“経営統合の相手が違う”と声をあげたわけです。
森永の場合、もともと乳業は製菓から分かれて設立された経緯があり、創業家は競争に生き残るには規模拡大しかないと合併に走ろうとした。いずれも、会社の先行きに危機を感じて行動を起こした点は同じ。物言わなかった創業家が、経営陣にはっきり示すようになってきた」
経営陣のストッパーとして「NOと言える創業家」が登場したことは、新しい現象である。
※週刊ポスト2017年5月5・12日号