「彼らの生活を破壊することになる可能性がある。このため、自然公園の整備は科学者マターではなく、完全に政治的判断になる」と劉氏は指摘する。
このビッグプロジェクトの中国政府担当者は「自然公園の設立は、自然保護ばかりでなく、天然資源の保存にも役立つ」と主張する。チベット高原は金、銀、銅、石炭や石油などの天然資源の宝庫として知られるが、これまでの乱開発で、広大な自然環境が破壊されていることから、自然公園を建設すれば、自然ばかりでなく、天然資源も守ることに通じるというわけだ。
しかし、現地のチベット族社会からは「780万人ものチベット住民をチベット高原から追い出し、チベット住民をある一定の区域にまとめて居住させ、共産党政権による実効支配を強化しようとの思惑が働いているのではないか」との声も出ている。