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中国 チベットに世界最大の自然公園整備計画で波紋

自然公園計画になぜ反対運動が?

 中国のチベット自治区と青海省にまたがるチベット高原で、約250万平方kmもの世界最大の自然公園を整備する大型プロジェクトが今夏、始動することが明らかになった。完成すれば、グリーンランドの97万2000平方kmの広さを誇る「ノースイースト・グリーンランド国立公園」を抜いて、世界一広大で、標高も4000m級と世界でもっとも高いところにある自然公園となるが、住民の強制移住は必至で、反対運動が拡大するとみられる。

 香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、この公園は「中国第三極国立公園」で、今年の夏に中国やネパール、パキスタンの科学者らとの合同調査を開始する。

 調査の最大のポイントは、自然公園の範囲を決めることで、ドローンや宇宙衛星の画像を使って、自然公園と人間の居住区の境界を決定することにしているという。

 これについて、中国科学院青藏高原研究所の劉景時研究員は「自然公園の整備で最も困難なのは、その広さが250万平方kmと広大なことだ」と指摘する。

 第三極国立公園の面積は、世界で最初の自然公園である米国の「イエローストーン国立公園」(8991平方km)の約278倍となり、「公園の管理・維持が極めて難しいことが考えられる」(劉氏)ためだ。

 しかも、現在世界一の広さをもつノースイースト・グリーンランド国立公園は基本的に無人地帯だが、第三極国立公園の場合、少数民族のチベット族が居住する町や村があり、住民が牧畜を行うなど、現実に生活をしている。その現地のチベット族の人口は約780万人に達しており、ここに自然公園をつくるとすれば、これら780万人のチベット族住民の移住が必要となる。

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