そもそも計画段階でこの現場を高速鉄道が通過することは分かっていたはずだ。でなければ事前調査がずさんだった可能性がある。

「政府の債務保証を求めない」という破格の条件に飛びついて中国案を採用したインドネシア政府の判断にも、問題があったかもしれない。

 インドネシア政府はここにきて一転、日本に秋波を送っている。日本の製品や技術力への信頼が高いことも関係しているだろう。

 一方で中国製品に対しては「壊れやすい」という街の声を耳にする。その典型例が、ジャカルタ中心部を走る中国製の路線バスが炎上する事故が多発していることだ。

 もちろんジャカルタ─スラバヤ間の準高速化計画が正式に要請されたとしても、油断は禁物だ。だが、この事業を成功に導くことができれば、各国で繰り広げられている高速鉄道の日中受注競争を有利に進める実績になる。

 中国案と同じ轍を踏まないためにも、今回の教訓が活かされるべきである。

【PROFILE】みずたに・たけひで/1975年三重県桑名市生まれ。上智大学外国語学部卒業。現在フィリピンを拠点にノンフィクションライターとして活動中。2011年『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』で開高健賞受賞。近著に『脱出老人 フィリピン移住に最後の人生を賭ける日本人たち』。

※SAPIO2017年6月号

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