チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が4月に予定されていた訪米を延期していたことが分かった。当初予定していたトランプ米大統領との会談について、ホワイトハウスが様々な条件を出して、実質的に会談を拒否しているためとみられる。チベット関係者が明らかにした。
トランプ大統領は中国の習近平国家主席に対して、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への圧力を強化するよう要請している手前もあって、中国側が「分離主義者」などとして口を極めて批判しているダライ・ラマと会談するのは時期尚早とみていた。そして、このままでは米大統領とダライ・ラマとの会談は当分、行われない可能性が出てきた。
ダライ・ラマは1989年にノーベル平和賞を受賞して以来、歴代の米大統領と会談してきた。これは「チベットは中国の一部」であるとの中国共産党政権の立場は否定しないが、チベット民族の信教の自由など人権問題で、中国政府を牽制する狙いもあった。
ところが、トランプ大統領は歴代の大統領と違って、人権問題にはさほど関心を示している様子はない。むしろ習近平国家主席について、「われわれは気が合うと思う。北朝鮮について、習主席は協力してくれると思う」「われわれの相性はすごくいい。互いに好意を持っている。私は彼のことがとても好きだ。彼の妻も素晴らしい」などと高く評価しているほどだ。