つまみは乾き物、缶詰が中心。ゴマ風味スナックなど珍しい品もある


「私はあまり飲めないし、かみさんはもっと飲めない。だから、昔から角打ちを売りにしていたわけではないんですよ。“有料試飲”という形態で店の中で飲んでもらえるようにしたのは、まだ5年前にしかなりません」と、金子さん。

 しかし、店の雰囲気も常連客の馴染み方も昭和の匂いが感じられてたまらない。どうみても、角打ちの老舗の風格だ。

「私は3度のめしより酒が好きな角打ち武闘派です。実はこの店のすぐ近くに長い歴史を持った立ち飲み屋がありましてね。そこに四方さんが酒を入れていたんです。ところが、そっちが店を閉めたんで、通っていた常連がそのまま移って来たというわけでね。飲ませてよという我々のプレッシャーが効いたんじゃないですか(笑い)。だから、店も、飲む立場の人間も、ずーっと昭和なんですよ」(50代、玩具商)

「私もその世代で、ずっと通っています。趣味が渓流釣りなもんで、いつのまにか仲間が増えましてね。以前はあちこち出かけていたんですけど、メンバーがみんな年取っちゃって、無理がきかなくなりました。ここで飲みながら釣りの話をすることが多くなったでしょうか」(60代、設計事務所)

「浅草演芸ホールも近くにある“演芸の街浅草”ということで、ときどき芸人さんも顔を出してくれます。観光客ももちろん来てくれますが、角打ちを始めて驚いたのは、女性客の多さですね。たまに京都弁や大阪弁なんかも聴けますよ」(金子さん)

 ほどよく酔いがまわった彼らが囲む小さなテーブルの上には焼酎ハイボールの缶が並んでいた。

「私がまだ三十路の頃、といってもわずか3年ばかり前のことなんですけど、下町のお祭りの絵が描いてある焼酎ハイボールの缶を見つけたんです。なんかうれしくなっちゃってすぐに飲みましたよ。めっちゃうまかった。甘くないのが最高でね。これはほんとの大人の酒だなと。以来、ファン状態でおります」(40代、玩具製造卸)

 店に遅れること2年、この3月に還暦を迎えた金子さん。「60歳になったところで、これからも角打ちはしっかり続けようとの新たな覚悟を決めました。酒屋共々、もっともっとお客さんに愛される店になってくれればうれしいです」

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