初夏に旬を迎える「しらす」。しらすとは元来、ウナギやイワシ、ニシン、イカナゴなど、体に色素が少ない白色や透明色の稚魚の総称。現在、もっとも一般的に食されているのはカタクチイワシの稚魚である。
「しらす」の語源は、時代劇に登場する「お白州」であるという説がある。しらすを天日干ししているときの一面真っ白な状態が、白砂利を敷きつめたお白州に似ていることから、そう呼ばれるようになったともいう。
しらすは水揚げ以降、その加工工程ごとに呼び名が変わる。生は「生しらす」、ゆでただけのものは「釜揚げしらす」、さらに天日干ししたものを「しらす干し」と呼び、産地や乾燥の程度によって「上乾ちりめん」「かちり」など、多様に変化する。
しらすはカルシウムの宝庫で、肝機能の働きを高めるタウリンやカリウム、鉄、亜鉛なども多く含まれる。また、免疫力を高めてがんや生活習慣病を予防し、皮脂量をコントロールする働きもある核酸も豊富だ。
家庭料理研究家の松田美智子さんはしらすについてこう説明する。
「春から初夏にかけての旬には、袋いっぱいにいただくことも多いしらす。ただ足が早く保存が難しいので、そんな時は油を絡めて『カリカリしらす』にしています。ご飯のお供はもちろん、サラダや和えものにと使い途が広いので、たくさん作ってもあっという間になくなりますよ」
【しらすの保存方法】
しらすは時間が経つと独特のにおいを放つようになる。ただ、水分を抑えれば保存も可能。「においの原因は水分。蓋付きのバットか密閉容器に吸水性のあるキッチンペーパーを敷いてその上にしらすを置けば、水分を吸い取ってにおいが発生せず、冷蔵庫で1~2日は保存できます」(松田さん)。
◆『カリカリしらす』のレシピ
【1】小ぶりで深さのある鍋に、しらす1カップ(約100g)と植物油1/3カップを入れる。油をしらすによく絡ませてから、中火にかける。
【2】箸で混ぜながら水分を飛ばし、ほんのりと焦げ色がついてきたら火を止め、余熱でしらすが落ち着くまで混ぜ続ける。
【3】キッチンペーパーを敷いた平ざるに開け、油をよく切る。冷めたらキッチンペーパーを敷いた密閉容器に入れて冷蔵庫へ。約1週間保存可能。
撮影/鍋島徳恭
※女性セブン2017年6月15日号