「誰かから借金の申し入れをされたら、まずはその理由を聞いてください。本当に困っているか、貸すに値する理由かどうか、その見極めが肝心です」と、上大岡法律事務所の弁護士・石井誠さんは話す。
見極めポイントは、具体性があるかどうか。借りる理由、返済日、返済方法を詳しく説明せず、単に「どうしても明日までに5万円必要で」など、理由があいまいな時は、クレジットカードの支払いなどに追われ、複数の借金を抱えているケースが多いという。
その場合、お金を貸したとしても、一時しのぎに過ぎず、根本的な解決にはならない。むしろ、2回3回と申し入れされる可能性も高いだろう。
それならば、「債務整理に詳しい弁護士に相談してみよう」など、債務整理のアドバイスをした方がためになる。
また、断る場合は、期待を持たせず、ハッキリと端的に断るべきと、石井さんはアドバイスする。「義理の母に貸してはいけないと言われている」など、第三者を理由にすると、角が立ちにくい。
一方、貸すと決めた場合は、友人関係にひびが入る可能性は覚悟すべきだ。
「それでも、相手が本当に困っていて、助けてあげたいなら、 あげるくらいの気持ちを持ってください」(石井さん・以下同)
人間関係を崩壊させないためにも、金額にかかわらず、口約束では済ませず、契約書を作成しておくことが重要だ。契約書があれば、万が一、裁判になった際の証拠となる。契約書の作成は言い出しにくいだろうが、むしろ、書面を作れないような場合は、貸すべきではないともいえる。
契約書の種類は、【1】借用書、【2】金銭消費貸借契約書、【3】公正証書の3つ。【1】【2】は自分で作成できるが、【3】は全国各地の公証役場で公証人に依頼する(有料)。【3】のみ、支払いが滞った場合、民事裁判なしで、給料や財産の差し押さえなどの強制執行ができる。
さらに、連帯保証人を立てておくとより安全だ。
「私の経験上、友人にお金を借りるのは最後の手段。そういう人は、複数の消費者金融から借りていることが多く、うるさく取り立てるところから優先的に返済しようとします。友人にお金を貸す場合、取り立てるのは自分しかいません。契約書を作ったからと安心せず、期限が来たら必ずきちんと催促してください」
※女性セブン2017年6月15日号