「ミサイル発射! ミサイル発射! 北朝鮮からミサイルが発射された模様です」──某日の正午過ぎ。突如、全国瞬時警報システム(Jアラート)が発令され、市町村の防災行政無線が自動起動。都内各所に設置された屋外スピーカーから警告アナウンスが流れた。
JR各線と東京メトロなどの地下鉄は直ちに運行を停止。電車内に閉じ込められた乗客がスマートフォンでニュース速報を見ると、北朝鮮から日本に向けてICBM(大陸間弾道ミサイル)が発射されたという。
街を行き交う人々はパニックに陥った。万が一の事態に備え、安全と思われる地下街やビル内に逃げ込もうと入り口に殺到し、将棋倒しで死傷者が続出。ミサイルの着弾前に犠牲者を出す事態となった──。
もちろんシミュレーションではあるが、これが絵空事とも言い切れない状況になっている。
5月29日、北朝鮮が3週連続で発射した弾道ミサイルは隠岐諸島から約300km地点の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。北のミサイルが日本のEEZ内に落下したのは今回で4回目。不気味なのは回を重ねるごとに着弾地点が日本に近づいている点だ。
「日本がアメリカに追従して敵対的に出るなら我々の標的は変わるしかない」
同日、北朝鮮外務省は安倍首相がG7サミット(主要7か国首脳会議)で「対北圧力強化」を訴えたことに対し、軍の攻撃目標を従来の在日米軍基地以外にも広げる“脅し”とも取れる報道官談話を発表した。