国内

「意識低い彫り師」が未成年まで食い物に 健康トラブルも

最低限の衛生すら保てない彫り師に頼んでトラブルになることも

 アメリカテキサス州の男性が、タトゥーを入れた5日後に海水浴へ出かけて細菌に感染、その3日後に敗血症を起こして死亡した症例報告が6月上旬に報道され、話題を集めている。この死亡事例は、今後、日本でも同じように起きる可能性がある。ライターの森鷹久氏が、日本の刺青やタトゥーの現状をレポートする。

 * * *
 電車には脱毛サロンやエステの中吊り広告が増え始め、肌の露出が増える季節の到来を感じさせる。美容業界にとってはまさに”書き入れ時”なのだろうが、同様に「見せたい客」をこの時期に一気に取り込もうとする人々がいる。神奈川県横浜市のマンションの一室を尋ねると──。

「4月あたりから、客は一気に増えます。夏休み直前がピークで、秋になると日がな一日ボーっとして、イラストを描いてるだけの日もある。この商売、季節に左右されるんです」

 取材に答えてくれたのは、タトゥーアーティストのMさん(38)。ヤクザ映画の登場人物に施されているような鮮やかな「和彫り」から、ドクロや薔薇といったデザインが用いられる海外風の「洋彫り」まで、10代の終わりに師匠に弟子入りしてから「彫り物」経験歴は20年になる。その間、刺青やタトゥーを取り巻く環境の変化を肌で感じてきたMさん。世間からの偏見が「確かにある」と認める一方で、そう見られても仕方ないような業界の側面についても吐露する。

「数年前、髪を短く刈り込み、日焼け肌にブランド物のぴっちりしたTシャツとパンツでキメるスタイルが流行しましたよね? あれは”金融系”とか”オラオラ系”と呼ばれる不良好みのファッションだったんですが、彼らはアルマーニやプラダを愛用するのに、和彫りが大好き。二十歳そこそこの幼顔の若者たちが押し寄せてきて、胸から腕に彫ってくれ、七分(肘下)や九分(手首)まで入れてくれと……。うちでは、事前に面談をして施術するかを決めていましたので半分以上断ったのです。しかし……」

 Mさんによれば、そんな「和彫りバブル」の中で、多くのインチキ彫り師が誕生した。ニーズさえあれば、相手が未成年だろうが彫り物を施し、わずかな小銭稼ぎに明け暮れる。そのような意識の低い彫り師達と関われば、当然痛い目を見るのは客だ。

「とにかく連中は技術もモラルもない。絵が下手で仕上がりも雑で汚い。ヤンキーが”鉛筆彫り”や”イタズラ彫り”をしますが、あれに毛が生えた程度か、もっとタチが悪い。せっかく大金を支払い、痛い思いをして彫り物しても、はずかしくて人様に見せられるような彫り物でなく、隠して過ごさなければならない」

 現在22歳の土木作業員・タツヤも、数年前の和彫りブームに触発され、成人する直前に刺青を入れた。

「夏の江ノ島海岸(神奈川県藤沢市)に行くと、みんな刺青入れてるっすよ。入ってない方が少ないくらい。海行く前にどうしても入れたくて、いろんな彫り師のところを回ったがダメで。彫り師になりたてのオナ中(同じ中学)の先輩がいたんで頼んだんすけど……」

 ところがこの”先輩彫り師”こそ、Mさんが指摘する意識が低い「インチキ彫り師」であった。右胸から右手首にかけて彫り物をする約束で、最初に40万円を支払った。三回目の施術で縁取り、いわゆる「筋彫り」を終えて帰宅したタツヤは、肌が焼けるような痛みを感じた。軟膏を塗るなどしてなんとかやり過ごしていたが、5回目の施術で「色入れ」に入るタイミングで、さらに代金を要求された。

関連記事

トピックス

『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(HP/時事通信フォト)
「私嫌われてる?」3年間離婚を隠し通した元アイドルの穴井夕子、破局後も元夫のプロゴルファーとの“円満”をアピールし続けた理由
NEWSポストセブン
小野田紀美・参議院議員(HPより)
《片山さつきおそろスーツ入閣》「金もリアルな男にも興味なし」“2次元”愛する小野田紀美経済安保相の“数少ない落とし穴”とは「推しはアンジェリークのオスカー」
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン
記者会見を終え、財務省の個人向け国債のイメージキャラクター「個子ちゃん」の人形を手に撮影に応じる片山さつき財務相(時事通信フォト)
《つけまも愛用》「アンチエイジングは政治家のポリシー」と語る片山さつき財務大臣はなぜ数十年も「聖子ちゃんカット」を続けるのか 臨床心理士が指摘する政治家としてのデメリット
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(時事通信フォト)
「濡れ髪にタオルを巻いて…」森下千里氏が新人候補時代に披露した“入浴施設ですっぴん!”の衝撃【環境大臣政務官に就任】
NEWSポストセブン
aespaのジゼルが着用したドレスに批判が殺到した(時事通信フォト)
aespa・ジゼルの“チラ見え黒ドレス”に「不適切なのでは?」の声が集まる 韓国・乳がん啓発のイベント主催者が“チャリティ装ったセレブパーティー”批判受け謝罪
NEWSポストセブン
高橋藍の帰国を待ち侘びた人は多い(左は共同通信、右は河北のインスタグラムより)
《イタリアから帰ってこなければ…》高橋藍の“帰国直後”にセクシー女優・河北彩伽が予告していた「バレープレイ動画」、uka.との「本命交際」報道も
NEWSポストセブン
歓喜の美酒に酔った真美子さんと大谷
《帰りは妻の運転で》大谷翔平、歴史に名を刻んだリーグ優勝の夜 夫人会メンバーがVIPルームでシャンパングラスを傾ける中、真美子さんは「運転があるので」と飲まず 
女性セブン
安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン