「本来、人間の体には必要な睡眠を確保するための『恒常性機能』が備わっています。しかし、睡眠は目覚まし時計や太陽光などによって妨害されてしまうので、睡眠不足を解消するのに必要な睡眠時間を取る前に起きてしまう可能性がある。そうした要因を排除した環境でないと、本当はどの程度睡眠が足りていないのかは計れません」
ただ、ここまで厳密なチェックをしなくても、週末や予定のない日につい普段より長く寝てしまう人には、リスクがあるといえる。
“負債”を抱えずに済む理想的な睡眠時間について、脳神経科学などを専門とする枝川義邦・早稲田大学研究戦略センター教授は、「様々な研究がありますが、6時間だと足りない」とする。
「8時間睡眠を目指すのが望ましいと考えられていましたが、最近では6時間半~7時間半が最適とする説もあります。やはり最適な睡眠時間には個人差があることも知っておく必要があるでしょう。ただ、睡眠負債を抱えていれば昼間に必ず眠気が襲ってきます。そうした感覚があれば睡眠習慣の見直しを考えるべきでしょう」
東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身(おさみ)院長はこんな言い方をする。