「女性にとっては、遠くに意識を向ける男性が“注意力散漫。私に集中していない”“愛が足りない”と映ってしまうのです。また、種の保存のために自己保存の本能を持つ女性は、男性が持つ、妻や恋人をも特別視しない公平性に“私を大事にしない”“味方をしてくれない”と腹立たしさを感じるのです」
3つ目は右左脳連携の違い。女性脳は右左脳連携信号(横の信号)を頻繁に使う。「感じる領域」の右脳と、「言葉を紡ぐ領域」である左脳の連携が非常によいため、察する天才であり、状況の変化に応じて動ける臨機応変力を持つ。
「半径3m以内で家事、育児とタスクが多重に重なりあう“家庭”も、男性脳にとって認知しにくい空間です。男性は、女性が無意識に認知している3分の1しか認知していないので、女性と同じ量のタスクをこなそうとすると3倍のストレスにさらされることを女性の側は知っておきたいですね。
逆に男性に知っておいてほしいことがあります。体内で命を育む哺乳類のメスは自らが健康で快適な状態でないと子孫が残せませんから、自己保全のための我の強さは最も大切な本能のひとつ。男性の何十倍も体調に敏感で、女性が自分の“快”を優先して、寒い暑いと騒ぎ、おなかがすいたら不機嫌に、足が痛ければ歩けないのも、わがままなのではなく“自分の快適さ”への責任が男性より重いからなのです」
◆男が女の機嫌を損ねるわけ
「なんでわかってくれないの?」「仕事と私どっちが大事なの?」など、女性の機嫌の損ね方には類型があるという。
「相手にわかりやすいように不機嫌を見せているため、バリエーションは少ないですが、男性からすると、なぜ不機嫌かわからないっていうことが起こりますよね。そのきっかけとなる事象は千差万別ですが、要は、男性と女性では脳の動きが違うので、女性脳という装置の操作に失敗したということです。男性も女性も自分の脳と同じように操作しようとするから失敗し、お互いに理解ができないんです」
女性が不機嫌になる理由はさまざまあっても、解消する方法はひとつ。それは「共感すること」だという。
「簡単に言えば、女性脳にとって“共感”という行為は大事な入力情報で、共感によって脳の機能スイッチをオン・オフすることができるんです。共感によって話を進めてもらえば、何が真実かという演算が円滑に動くし、不安を口にしたときに共感してもらえれば、不安によって起こった余剰なストレス信号がオフにできる。要は“共感すること”が肝なんです」
◆優秀な男性脳ほど機嫌を損ねる