ライフ

止まらぬ日本のマグロ乱獲 漁獲枠は「自転車操業」状態か

いずれこんな見事なマクロは見られなくなる?!(写真:アフロ)

 日本のマグロの未成魚にたいして乱獲が依然続いている。果たして有効な打つ手はあるのか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が語る。

 * * *
 日本は「もったいない(MOTTAINAI)」の国だと言われる。確かに言葉の発祥としてはそうだろう。もっとも、日本が食料にまつわる環境意識について意識の高い国かというとそれも違う。2013年の本稿で「マグロ 未成魚乱獲で絶滅危機のウナギの二の舞になる危険も」という記事を書いた。

 一部のまき網漁がクロマグロの幼魚を根こそぎ水揚げしてしまい、結果、クロマグロの水揚げの99%が3歳以下の小型のものに。味がよく単価が高くなるはずの大型成魚の漁獲量が激減し、クロマグロが危機的な状況に陥っていると。自主規制は一応されているが、機能しているとは言い難い。ならば、強制力のある規制が必要だという趣旨の記事だった

 ところがあれから4年が経過したいまも状況は改善されていない。スーパーに行けば当たり前のように「ホンマグロ(ヨコワ)」、「メジマグロ」という表示のマグロが売られている。小型のマグロが「特売」という名目で、安値で叩き売られているのだ(しかもわりと売れ残っている)。

 クロマグロは国際的な漁獲規制の対象になっている。当然、漁には国の広域漁業調整委員会の承認が必要だ。しかし今年、全国で無承認操業船や、漁獲の未報告が続々と発覚した。さらに深刻だったのは、まき網漁船による漁だ。小型船のベテラン漁師は「大手水産会社のまき網漁は産卵期のマグロや未成魚を一網打尽にしてしまう。この数年、まき網の連中は何も変わっていない」と言う。卵を生む親魚やこれから大きくなる未成魚を乱獲すれば、成魚の漁獲が減少するのも同じだ。

関連記事

トピックス

志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日のなかベビーカーを押す海外生活》眞子さん、苦渋の決断の背景に“寂しい思いをしている”小室圭さん母・佳代さんの親心
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
原付で日本一周に挑戦した勝村悠里さん
《横浜国立大学卒の24歳女子が原付で日本一周に挑戦》「今夜泊めてもらえませんか?」PR交渉で移動…新卒入社→わずか1年で退職して“SNS配信旅”を決意
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン