◆「足音」を気にしてみる
とりわけ重要となるのが「歩き方」だ。石部氏によれば、股関節にかかる負荷は、立っている時で体重の0.6~1倍程度だが、歩行時は3~4.5倍にもなる。それだけに、正しい「歩き方」か否かは大きな違いとなる。
「まずNGなのは『すり足歩行』です。股関節や膝に痛みがあったり、脚の筋力が衰えているお年寄りに多い歩き方ですが、脚全体で着地の衝撃を吸収することができません。つまずいて転倒する危険性も高まってしまいます」
靴を履いて歩く時に、ズルズルと足音がする場合、注意すべき兆候といえる。歳を重ねて歩く時の姿勢が猫背や前傾気味になっている場合も気をつける必要がある。
「腰に負担がずっしりとかかり、股関節にも大きな負荷になる。無駄なエネルギーを使うことにもなり、歩いていて疲れも溜まりやすくなります」
前述した「変形性股関節症」が進行した場合のサインとして、『肩が水平でない』ことも挙げられる。
「片方の股関節が悪くなって痛みが出ると、使うのを避けるようになり、その股関節周囲の筋力が低下する。とくに中殿筋という股関節の外側の筋肉がやせてくると、バランスをとるために片側の肩だけが下がる歩き方になる」