靴底の減り方が左右で大きく違うようなら要注意だ。そうした歩き方の歪みは股関節への負担として蓄積されていくのだ。石部氏は理想的な歩き方を「グッド歩行」と名付け、その実践を呼びかけている。最大のポイントは『着地はかかとから』を心がけることだという。
足のかかとから着地したら、足裏全体を地面につけ、重心を徐々につま先に移動させるというシンプルな原則だが、加齢とともに当たり前だったはずの歩き方が少しずつできなくなっている。その改善が必要だ。
「踏み出しと着地の際の衝撃を、足首や膝の関節でバランスよく吸収できるようになります。また、背筋が伸びていなければ、かかとから着地できないので、自然と猫背が解消される。歩幅は踏み出した足のかかとと、もう片方の足のつま先の間が7~8cm程度となっているかをチェックしてください。やや狭いように思えるかもしれませんが、大きすぎるとかかとから着地できなくなります」
単に股関節への負荷が軽減されるだけではない。「グッド歩行を実践すると、長い距離を歩いても疲れにくくなる」というから、健康長寿につながる適度な運動量の確保も可能となる。
股関節のケアが様々な疾病の予防にもつながってくるのだ。
※週刊ポスト2017年7月14日号