外観は古いが、『富貴』の室内は清潔感に溢れている
《古くて最新設備もないホテルです。お客様にはご不便 ご面倒をおかけすることも多いのですが常連のお客様に支えられ 応援して頂いたお蔭で 今日まで続けてこられました。このレトロでクラシックなホテルに そして常連のお客様に愛される古くて昭和の時代のホテルに少しでもご興味を持って下さったら ぜひ一度 『ホテル富貴』にお立ち寄り下さいませ》
結果的に、この真摯な姿勢が“昭和遺産”として『富貴』の価値を高め、全国から客が来るようになった。
東京在住の増木優香さん(73才・仮名)は、昨年夏、夫(74才)と大阪に旅行に行った際に『富貴』に泊まったという。
「夫の大学時代の友人が大阪にいまして、“いい宿がある”、と聞かされたそうです。行く前は老舗旅館だと聞いていたので、驚きました。いざ着いたらラブホテルなんですから。でもなんだか情緒があるっていうか、想像していたようなギラギラした所と違って、ここならいいかなって(笑い)。大阪城や黒門市場といろいろ歩いて、一刻も早く休みたかったというのもありましたけど。
泊まったのは舟がある部屋でした。内装が昔ながらの和室で、すごく居心地がよかった。お風呂も広いし。恥ずかしい話ですが、あの日、生まれて初めてAVっていうものを見たんです。その流れで、主人がそっとキスしてくれて…。嬉しかった。くっついて添い寝したのも久しぶりでした。東京に戻ってからも、心なしか夫婦の距離が近くなった気がします」
今年2月、はるばる北海道から訪れたのは、水本典子さん(62才)夫婦。ズバリ『富貴』が目当てで大阪に来たという。
「うちの主人(64才)、昭和レトロな場所が大好きなんです。定年後に東京の青梅や大分の豊後高田とか、夫婦でいろいろ観光しているうちに、『富貴』を知って。どうしても泊まりたい、って言うもんだから…。そりゃ、最初は抵抗感がありましたよ。でもホームページを見たら本当に“昭和感”が満載でね。いやらしさを全然感じなくて、むしろ歴史もののテーマパークのように見えたんです。セックスはずっとご無沙汰でしたし、そういうのと関係なく、単純に観光気分で行ってみよう、と。
でも不思議ですね。いざ泊まると、なんだか久々にふれあいたくなって…。夫も同じ気持ちだったみたいで、10年ぶりに体を重ねました。『富貴』に行って以来、家でもたまにイチャイチャするようになりました」