つまり、アマゾンに“軍資金”を送り込んだのは再販制度なのだ。もともと出版文化を維持する目的で生まれた再販制度が、今は出版業界の首を絞めているわけで、実に皮肉な話である。
今やアマゾンはクラウドコンピューティングサービスの分野でも世界最強になっている。ネット通販では、出品者に対して競合他社と同等以上の扱いを求める契約が独占禁止法違反にあたる可能性があるとして公正取引委員会の審査を受けたが、この問題はアマゾンが自発的に条項を削除したため解決した。今後、アマゾンは穏便にゆっくりと、しかし着実にシェアと収益を拡大していくだろう。
※週刊ポスト2017年7月21・28日号