関東地方の荒川水系では20年ぶりに取水制限が行なわれるなど、今夏の日本列島は空梅雨に悩まされる。
だが、新国立競技場の建設工事にとって好天続きはまさに天の配剤。天候がすべての理由ではないにせよ、「工事は順調に進んでいる」(日本スポーツ振興センター)という。
競技場の南西側(写真左下)、外苑西通りに面した旧明治公園の敷地で屋根鉄骨実大施工検証が行なわれている。建築アナリスト・森山高至氏が解説する。
「当初は2015年10月に着工の計画でしたが、工事が始まったのは2016年12月。デザインや建設費を巡る混乱で着工が遅れたにもかかわらず、工法の工夫などで遅れを取り戻しました。
現在は、来年2月から始まる本格的な屋根工事を前に、屋根鉄骨実大施工検証が始まっています。実際の屋根を組み立て、品質と安全を検証し、作業手順の確認を行なう重要なプロセスです。
検証終了後の屋根はいったん解体され、本格着工後に競技場フィールド内で組み立てた屋根をクレーンで取り付けます」
■撮影/小倉雄一郎
※週刊ポスト2017年8月4日号