小泉は共産党との共闘に疑問を抱く民進党の保守系を取り込む考えも語った。小選挙区制下では難しいが、長い目で「連立」も視野に入れたら「平成の保守合同」につながるかもしれない。
「民進党を離脱した人は、ゆくゆくは自民党に流れる。それが一番すっきりする」
思えば父・純一郎は古い自民党をぶっ壊す組織改革に着手した。その指揮を任せたのが、閣僚未経験の安倍だった。
40代の彼はベテランが反発する衆院比例区の73歳定年制や候補者の全国公募を断行し、先人がアプローチできなかった熱狂的な若き保守層を新たに取り込むことで「自民党ではない自民党」に一新した。
「時代は組織よりも個人。『この人』となれば政党の枠組みも凌駕しちゃう」
小池ブームを見ながら、潮目の変化をそう読む小泉は、当時の安倍と同じ当選3回生。父が育てた安倍を越える強かな改革者になれるのか。人気者の真価がいよいよ問われる。
(敬称略)
●とこい・けんいち/1979年、茨城県笠間市生まれ。ネット企業、出版社勤務を経て、2017年、「小泉純一郎独白録」(月刊文藝春秋)で第23回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。著書に『保守の肖像 自民党総裁六十年史』『誰も書かなかった自民党 総理の登竜門「青年局」の研究』など。
※SAPIO2017年9月号