佐藤:基地を巡る状況も大きく変わっています。
安倍政権は辺野古の海に土砂を投入すれば、沖縄は抵抗を諦めると考えている。一方の沖縄では、いまは我慢して100年後に基地を壊して原状回復してやるというくらいの気持ちで抵抗を続けている。
沖縄出身の芥川賞作家・大城立裕さんが「辺野古遠望」という小説で、抵抗することは我慢することなんだ、と書いている。そんな思いが沖縄の人たちに内在する分離独立気運につながっています。
片山:しかし安倍政権にその連鎖は見えていない。短期的な結果を求めるから中長期的な視野が持てない。
佐藤:そうなんです。
今後、沖縄が日本から独立する可能性は十分にありえるでしょう。私は平成という時代がそのプロセスになると見ているんです。
●かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究家。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬遼太郎賞受賞。近著に『近代天皇論』(島薗進氏との共著)。
●さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。共著に『新・リーダー論』『あぶない一神教』など。本誌連載5年分の論考をまとめた『世界観』(小学館新書)が発売中。
■構成/山川徹
■撮影/太田真三
※SAPIO2017年9月号