国内

ビーチ無法化をもたらす若者たち 海岸から海岸を彷徨う

海岸から海岸へ彷徨ったあげく元の海岸へ戻る

 海水浴が庶民のレジャーになったのは、1960年代のこと。自家用車普及で家族旅行が一般的となり、海水浴場も家族連れでにぎわった。ところが近年は、海水浴場というと無軌道に騒ぐ若者たちによる騒音や不法行為のイメージがつきまとう。家族連れが安心して遊べるように、各地で取り締まりや監視を強め、いったんは静まったかに思われたが……。ライターの森鷹久氏が、海水浴場の今について報告する。

 * * *
「あいつらは夏になると発生する蚊みたいなもん。ウルさいし鬱陶しいし、普通に暮らす人間にとっては害悪だよ」

 多くの人で賑わう、関東近郊のある海岸沿いで土産店を営む村田さん(仮名)は憤りを隠さない。村田さんによれば、今から5~6年前の地元海岸は、自分勝手な若者たちであふれかえっていたという。

「海開きと同時に海の家を名乗るが、中身は何の工夫もない若者向けのただの居酒屋がズラーッとオープンする。朝早くから夜の8時頃の閉店までひっきりなしにガンガン音楽を鳴らしてやかましいし、刺青の兄ちゃんとギャルが入り乱れて、酔っ払ってゲロ吐くし喧嘩はおきるし、車道には暴走族やら走り屋みたいなのがたむろしていて……。そのおかげで、溜まり場となってしまったコンビニが一軒潰れたんだ。家族連れからは怖いと言われて敬遠されるし、俺ら本当に頭にきてたんだよ」(村田さん)

 勢いがついた若者たちの暴れぶりは目に余るものだった。カーステレオでお気に入りの音楽を深夜になっても大音量で流し、酒を飲んで騒ぎ続ける。ところかまわずバーベキューを始め、片付けもしない。人に見せびらかすため、刺青やタトゥーが目立つ露出したファッションをわざわざ選び、砂浜では、周囲を威嚇するような勢いで歩き回る。しまいには、酔ったまま水上バイクにのり、禁止区域ぎりぎりまで乗り付けて、遊泳する人たちを脅かすありさまだ。

 5年ほど前から各地の海岸で見られるようになった一部の若者たちによる迷惑行為に、大人たちも手をこまねいていたわけではない。ある自治体では、海の家の営業時間を短縮させ、砂浜でのバーベキューを禁止した。さらに、警察による重点的なパトロールもされることになった。ある人気海水浴場を抱える自治体の関係者が、「あの当時は本当にひどかった」と振り返る。

「駐車場や海の家の床下で大麻や合成麻薬を使用している若者が多くいました。海の家の床下に連れて行かれ、暴行された事例もあります。音楽を大音量で鳴らす、いわゆる”クラブ風”の海の家では、強制わいせつ行為や未成年の飲酒・喫煙が散見されました。暴力団関係者や半グレによる喧嘩、暴行事案の発生、バイクや車などの飲酒運転や暴走行為など、それまでの家族で海水浴を楽しむ海岸の雰囲気からかけ離れたものになってしまいました」

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン