ライフ

気軽なおやつだったポテトチップスの高級化が進む背景

高級チップス、食べてみる?(写真:アフロ)

 気軽なスナック菓子の代表である「ポテトチップス」が、高級化路線に商品の幅を広げている。背景にあるのはなにか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
「気軽な庶民のおやつ」だったはずのスナックが大きな転換点を迎えている。とりわけ象徴的なのがポテトチップスだ。

 今年、湖池屋は「KOIKEYA PRIDE POTATO」というプレミアム層を意識したラインナップを市場に投入した。国産100%青のりを使用した「秘伝濃厚のり塩」や和牛の旨味を加えた「魅惑の炙り和牛」といった”本格派”のポテトチップスだ。従来品も含め「国産ジャガイモ100%宣言」を行い、北海道の十勝地区や富良野町で作付けを増やす活動をスタートさせるという。

 ポテトチップスの「高級化」先鞭をつけたのはカルビーだった。2014年阪急うめだ本店にカルビー直営店を立ち上げ、同店でのみ取り扱いを始めた1箱500円(税別)の「GRAND Calbee(グランカルビー)」シリーズはまたたく間に大ヒット商品に。連日長蛇の列ができ、翌年には個数限定でインターネット通販でも売り出した。

 ところが昨年、十勝を襲った台風でポテトチップス市場は大きなダメージを受けた。そもそも北海道は国産市場に流通する8割のジャガイモを生産する一大産地だ。ポテトチップス用に使われる北海道産は、夏~秋に収穫したものを翌年まで保管して使う。

 昨年の収穫直前の台風被害を受け、北海道の多くの畑でジャガイモは水浸しになった。カルビーにジャガイモを供給する十勝・芽室町の農協も、2017年の春から秋までの使用分で同社向けに確保できたのは昨年同時期の約半分、5000トンに過ぎなかったという。原料がなければ生産はできない。

 今年の4月10日、カルビーが「ポテトチップス一部商品の販売休止」を発表した後、同社の「お客様相談室」には2ヶ月間で1000件を超える激励や問い合わせがあったという。

 夏休みを目前にした7月、同社はインターネットで小口資金を集めるクラウドファンディングを活用した製品づくりに乗り出した。出資者には限定ポテトチップス「ア・ラ・ポテト」を提供する。用意された出資コースは1000円×2種類、2000円、5000円という4つのコース。募集期間は8月一杯まで。ポテトチップスに加えて、製品づくりに参加できる権利やファン認定証などが得られる5000円のコースは早々に完売した。

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン