不遜な笑いというべきか、不敵な笑みというべきか。歪んだ笑みは心の内にある皮肉を表すことが多いといわれる。議員の秘書を長年やってきた経験があったからこその発言。まさにしてやったり、そんな心の内が透けて見えてきそうな歪んだ笑みではないだろうか。
青森県板柳町は町議の兼職が可能だ。政策秘書も国会議員本人が許可すれば、特例だが兼職が認められるという。だが、松森氏は豊田議員に面会したことも、話したことすらないという。それどころか、居場所すら知らないらしい。
だが本人はそんなことはお構いなし。兼職が務まるのかと問われても、「国会議員ではないから」とわずかに鼻で笑うと、秘書業務は融通が利くから問題なしと説明する。国会議員ではない自分が注目を集めたのが嬉しいのか、政策秘書になったのが嬉しいのか、勤務について聞かれると、顔をほころばせて「今はポスターを貼り直したり、はがしたり」と答えていた。
秘書就任についても「僕の議員活動とキャリアに有益」と両眉を上げ、身体を何度も前のめりにして答えていた。まだまだ政治活動に意欲があり、積極的に自分を売り込んでいきたいという気持ちが、「僕の」という言葉と前のめりになった仕草からもにじみ出ている気がする。
さらに、政策秘書としての仕事について聞かれると、「オーダーがあれば」と、机の上で両手を広げて指先をくっつけたまま、政策立案にも取り組む気持ちがあることをアピールした。指を伸ばして指先をくっつけるこの仕草は、自分に自信がある時に出やすい仕草である。それだけ自分の能力に自信があるということだろう。
すると松森氏、「61歳のわりにはキャパがあると思っている」と右肩をクイッと持ち上げて言ったのだ。妻に秘書を頼まれたと発言した時も右肩が持ち上がったところを見ると、松森氏にとってプラスの感情が動く時は右肩が上がるのだろう。強気の発言に記者たちから苦笑が漏れても、会見でこうもはっきり言い切れるのだから、心臓はかなり強いと思われる。もっとも、そうでなければ、あの豊田氏の秘書は務まらないのかもしれない。
ところで当の豊田議員は、松森氏の秘書就任とこの会見をどう思っているのだろうか? マイナスにこそなれプラスにはならず、支持者をさらに怒らせるだけのような気がするのだが…。まあ、その前に豊田議員自身が今後どうするつもりなのか、そこが一番知りたいところではあるが。